モデルタブレット 「山鹿温泉鉄道キハ101形三題」
特製品コーナー
表示の価格は税別価格です。
モデルタブレット
■商品紹介
マスターピース今夏の新作、「山鹿温泉鉄道キハ101形」を通常フィニッシュ・ウェザリング・フリーランスの三題で仕上げました。実車は災害に見舞われた同線が新車の導入を断念して苦肉の策で生み出した代物ですが、その容姿が話題をよび、「サンデー毎日」(昭和32年9月10日)に“交通の奇形児”として紹介されたほどです。
特徴的なボディはホワイトメタルによって再現されており、特有の肌荒れや乱れを修正してこれまでと同様にすっきりと仕上げました。同車のアイデンティティである転向装置(油圧ジャッキ)や前部の排障器は付属していませんでしたので、金属材料から自作しました。レタリング・インテリアは実車を参考に特注で製作して充実感を高めました。駆動系は指定の組み合わせから見直し、トルクのあるモーター+後輪一軸駆動に改めて安定走行を目指しました。
今作は珍しくフリーランスタイプも製作しました。エコーモデルのオーナー阿部氏のアイデアによるもので、山鹿温泉鉄道廃止後に南部縦貫鉄道に移ったと想定したもので、キハ1形1号として仕上げました。―“資金乏しい同線の助っ人としてはるばる南の地からやってきた怪しいレールバスで、主に工事作業員の輸送に使われたようである。開業後は車籍を取得してキハ1形を名乗ったが、まもなく何処かへ姿を消した。”
なお、製作に当たっては塗色が不明であったため、現地での聞き取りと書籍調査により次のように考察・決定しました。同志の皆様の参考になりましたら幸いです。商品のご紹介まで少々長いですがどうぞお付き合いください。
― 山鹿温泉鉄道 キハ101形の塗色についての考察 ― (協力:H.A氏)
1. introduction
山鹿温泉鉄道 キハ101形は昭和30年に国鉄西鹿児島工場で誕生した“レールバス”である.経営に苦しむ同社が大阪市交通局払下げのGMC改造のバスをベースに足廻りを鉄道用に改造したもので、その奇抜な容姿でマニアの注目を浴びることになった.幸い記録が多数残されており、後世の我々が当時の様子を窺い知ることは易しいが、どれもモノクロ写真であり塗色を示すものは現時点では確認できていない.そこで鉄道模型製作に関連して“彼がどのような塗色を纏っていたのか”、現地での聞き込みと同車の経歴の双方から迫った.
2. 世間で認知されている塗色と再調査の意義
山鹿温泉鉄道の車両は地元で愛されており、書籍やイベントでたびたび絵画や模型として登場する.モデルはキハ101・102(レールバス)、キハ1・2(キハ41000タイプ)と様々だが、塗色に関してはいずれも上半分が水色様、下半分があずき色様であり、根拠はともかく「山鹿温泉鉄道の色」として世間で認知されているようである.これは恐らく2004年刊行のRM LIBRARY57 山鹿温泉鉄道 [7](リライブラリー下段にも同一の写真 )を参考にしたものと考えられる.ところが、2023年に開催された「鉄道開業150年 山鹿を走った鹿本鉄道」のパンフレットに掲載された写真(写真)[10]は全く同じ構図にも関わらず、上半分がクリーム色、下半分が緑色である.別の写真である可能性も考えられるが、車輌・構図が酷似な上、撮影者の西村亮一氏が「表紙に使われた写真」と言及しており[9]、全くの同一でありながら色彩が異なる矛盾が生じることになる.
3. 塗色の再調査
唯一参考となりうるカラー写真に矛盾が生じたため、現地の方への聞き込みと経歴(書籍調査)の2点から調査した.
3.1. 聞き取りによる調査
2025年8月3日、熊本県山鹿市山鹿にお住まいの当時を知る3名を対象に聞き取り調査を行った.手順と結果は下記の通りである.
<塗色の聞き取り調査>
①モノクロ写真から塗色をたずねる→「記憶がはっきりしない」
②RM LIBRARY57表紙の「水色・あずき色」を見せる→首を傾げて反応なし
③パンフレット写真(クリーム色・緑色)見せる→3名とも反応あり
あわせて当時の様子をうかがったところ、レールバス(特にキハ101形)・蒸気機関車・客車については記憶があるものの、キハ1・2形(キハ41000タイプ)については憶えがないと回答を得た.上記の結果によりキハ1・2形の塗色が判明した訳ではないことに注意されたい.
3.2. 経歴から辿る
鉄道車両への改造に際して再塗装を施していない、または類似した塗装を施したならば、払下げ前の大阪市交通局の塗色を維持していたと解釈してよい.書籍調査を行ったところ、同局の記念誌[6]にバス時代のモノクロ写真が掲載されており、塗り分け位置が若干異なるものの塗色自体はキハ101形と同じ明度で写されていた.加えてJTBパブリッシング発行のカラー写真集[7]に掲載されている同局の昭和30年式日野ブルーリボンBDはクリーム色と緑色の組み合わせとなっており、本文中“戦後はクリーム/緑のツートンでスタートしたが”に合致するほか、モノクロで写された場合に生じる明度差と考えても違和感はない.
4. 考察
3.1よりキハ101形の塗色はクリーム色/緑色のツートンである可能性が高い.また、3.2よりモノクロ写真と同年代の類似車輛での例がこれを裏付けると考える.
5. 今作における塗色の解釈について
これまでの内容を踏まえ、今作では下記のように塗色を決定した.
・車体上半色:クリーム色
・車体下半色:僅かに青みのかかった暗緑色
・屋根色:記録より屋上が何らかの色で塗られている.日野ブルーリボンBDを参考にすれば車体下半色と同じ暗緑色のようであるが、主張が強すぎると感じたためにねずみ色とした.
・ワイパー:明度から推察するに車体上半色または銀色である.今作では後者とした.
・車輪(輪芯):考えられるのは車体下半色と同じ緑色・黒色・銀色である.今作では下半色より明るく写っている記録を参考に銀色としたが、ひどく茶色く汚れた場合でも同様に写るので注意されたい.
6. 新たに生じた疑問―キハ1・2形の塗色
事の発端は同車を写したカラー写真の矛盾によるものであった.聞き取り調査ではなぜか人々の記憶になく、水色・あずき色だったのか、はたまたクリーム色・緑色だったのか、途中で塗り替えられたのか…その真実に迫ることはできなかった.この疑問を追究する方へのエールとして、松葉繁喜氏―終戦後のひとりの乗客として―より、キハ1・2形を評した次の一説を引用して締めの言葉としたい.「・・・ディーゼルカー二台がおめみえすることになり、スマートで、きれいな色彩で、天女天下りかと思つた.スピードあり、座席のゆとりもでき、大変輸送が緩和されて乗客はこおどりしてよろこんだ.」
<参考文献>
[1]山鹿温泉鉄道株式会社.山鉄発第三三二号 車輌設計認可申請書.1954年12月20日
[2]山鹿温泉鉄道株式会社.山鉄発第十五号 車輌設計認可追加申請書.1955年1月26日
[3]山鹿温泉鉄道.鹿鉄五十年史.1965
[4]プレスアイゼンバーン.レイルNo.25 私鉄紀行 南の空,小さな列車(上).1989
[5]山鹿市立博物館.懐しの風景展~ふるさとに汽車が走ったころ~展示図録.2000
[6]大阪市交通局.大阪市営交通創業100年.2003
[7]田尻弘行.RM LIBRARY57 山鹿温泉鉄道.ネコ・パブリッシング,2004
[8]満田新一郎・三次好三・福川博英,発掘カラー写真 昭和30年代バス黄金時代.JTBパブリッシング,2006
[9]山鹿市教育委員会教育部.鹿本鉄道 : 山鹿に汽車が走っていた : 西村亮一先生講演録.2011
[10]山鹿市社会教育課.「鉄道開業150年 山鹿を走った鹿本鉄道」を開催します.https://yamaga-mate.jp/info/detail/53fa9a081af4419e
■各車紹介
●山鹿温泉鉄道 キハ101形 ¥85,000(本体) 売り切れ


●山鹿温泉鉄道 キハ101形(ウェザリング仕様) ¥88,000(本体) 売り切れ


●フリーランス:南部縦貫鉄道タイプ ¥88,000(本体) 売り切れ


■加工詳細
【上廻り】
・メタルキャストによる表面の荒れ・乱れを修正。
・客扉の保護柵表現が実車と異なるため削除。
・前面にシングルワイパーを追加。
・ヘッドライトレンズはWAVE製を使用、レンズ裏側にシルバーを塗布してリフレクターを表現。
・テールライトレンズは天賞堂 赤レンズ(小)を使用。
・(フリーランス)ミラーを製作して前位タイヤハウスに追加。
【下廻り】
・駆動方式をミネベアミツミ製モーター+MPギア(後輪・片軸)に変更。
・集電シューは燐青銅製に交換、あわせて目立たないように配線の取り回しを変更。
・転向用の油圧ジャッキをドリルレースで自作、モーターブラケット下部に追加。
・排障器を洋白材と真鍮チャンネル材で製作。
・(フリーランス)エンドウのロスト製複線スノープラウを追加。
【インテリア】
・窓セルは透明ポリカーボネート板t0.5から切り出して製作。
・前頭幕板部のみエコーモデルの曇りガラスを使用。
・特注のインテリアパーツにより、室内床張(デッキ部含む)・腰掛(乗務員用・乗客用)・乗務員後部保護柵を再現。
【塗装・レタリング】
<山鹿温泉鉄道色>
・上廻りはクリーム色と緑色のツートン、屋上はねずみ色で塗装。
・前頭部ラジエター・後部バンパーはブルーイングした黒色で塗装。
・ワイパーは銀色で塗装。
・室内内張・乗務員後部保護柵はアイボリーで塗装。
・腰掛はあずき色で塗装(実際は不明)。
・室内床張は木目調塗料で塗装。
・出入口デッキはねずみ色で塗装。
・下廻り・モーター等駆動パーツはブルーイングした艶消し黒色で塗装。
・ワイパー・車輪は銀色で塗装。
・特注インレタにより、実車を参考に社紋・社名・車番・細かな標記類を再現。
・レタリングの保護としてGMクリアーコート8分光沢を吹き付けたのち、全体を艶消しスムースクリアでオーバーコート。
・(ウェザリング仕様)茶系2色を上廻り・下廻りに吹き付け。
<フリーランス(南部縦貫鉄道タイプ)>
・塗色は南部縦貫鉄道に所属した車輌を参考に調色によって再現。
・前頭部ラジエター・後部バンパーはブルーイングした黒色で塗装。
・前頭部ラジエターグリル・ワイパーは銀色で塗装。
・室内内張・乗務員後部保護柵はアイボリーで塗装。
・腰掛は同社レールバスを参考に乗務員用腰掛はライトブラウン、乗客用腰掛は青色で塗装。
・室内床張は木目調塗料で塗装。
・出入口デッキはねずみ色で塗装。
・下廻り・モーター等駆動パーツはブルーイングした艶消し黒色で塗装。
・車輪は銀色で塗装。
・特注インレタにより、社紋・社名・車番・細かな標記類を再現。標記は同社のデザインを模倣し、山鹿温泉鉄道廃止後に南部縦貫鉄道へ移籍したものとして年月を決定。
・側面窓下にサボを追加。「野辺地↔七戸」「七戸↔野辺地」は特注インレタによって再現。
・レタリングの保護としてGMクリアーコート8分光沢を吹き付けたのち、全体を艶消しスムースクリアでオーバーコート。
a:1753 t:2 y:3
















